なぜ粗利30%が目安なのか
フリーランスとして持続可能なビジネスを行うには、適切な粗利(売上から原価を引いた利益)の確保が不可欠です。一般的に、粗利率30%が健全な経営の目安とされています。
30%の内訳
| 項目 | 割合 | 内容 |
|---|---|---|
| 原価 | 70% | 人件費(自分の時給換算)、外注費、ソフトウェア費用など |
| 固定費 | 10-15% | 事務所費、通信費、保険、会計ソフトなど |
| 利益 | 10-15% | 税金、将来への投資、貯蓄 |
| バッファ | 5% | 予期せぬトラブル対応、追加作業 |
粗利20%以下の危険性
粗利率が20%を下回ると、ちょっとした追加作業や予定外の修正で赤字に転落します。「忙しいのに儲からない」状態に陥る前に、見積り方法を見直しましょう。
原価計算の基本
見積書を作る前に、まず「原価」を正確に把握する必要があります。フリーランスの原価は主に「時間」に紐づきます。
自分の時給を計算する
まず、自分が1時間働くといくらかかるのかを把握しましょう。
この計算で求めた時給が、あなたの「原価時給」です。実際には、案件獲得にかかる営業時間、スキルアップの学習時間なども考慮すると、原価時給の1.3〜1.5倍を請求単価の目安とします。
原価に含めるべき項目
- 作業時間 x 時給
- 外注費(デザイナー、カメラマン、ライターなど)
- 素材費(写真、フォント、アイコンなど)
- ツール・サービス費(有料プラグイン、API利用料など)
- 交通費・宿泊費(出張が必要な場合)
見積金額の算出式
原価が分かったら、粗利を確保した見積金額を算出します。よくある間違いは「原価 + 希望利益」で計算すること。これでは粗利率が安定しません。
正しい計算式
ツールで自動計算
当サイトの見積・原価計算ツールでは、原価と目標粗利率を入力するだけで見積金額を自動算出。消費税計算も含めた正確な見積書を作成できます。
粗利率別の早見表
原価から見積金額を素早く算出するための早見表です。
| 目標粗利率 | 原価に掛ける係数 | 原価50万円の場合 |
|---|---|---|
| 20% | 1.25 | 62.5万円 |
| 25% | 1.33 | 66.5万円 |
| 30% | 1.43 | 71.5万円 |
| 35% | 1.54 | 77万円 |
| 40% | 1.67 | 83.5万円 |
工数見積のコツ
見積りが甘くなる最大の原因は「工数の読み違い」です。以下のポイントを押さえて、精度を上げましょう。
WBS(作業分解構造)を作る
大きなタスクを細かく分解することで、見積精度が上がります。「Webサイト制作」ではなく、工程ごとに分解します。
-
要件定義・設計
ヒアリング、ワイヤーフレーム作成、サイトマップ作成など。全体の10-15%。
-
デザイン
トップページ、下層ページ、レスポンシブ対応。全体の25-30%。
-
コーディング・実装
HTML/CSS、JavaScript、CMS組み込み。全体の30-40%。
-
テスト・修正
動作確認、ブラウザテスト、クライアント修正対応。全体の15-20%。
-
納品・公開対応
サーバー設定、ドメイン設定、公開後の確認。全体の5-10%。
バッファを必ず入れる
経験則として、見積工数の1.2〜1.5倍を実際の工数として計上します。これは怠慢ではなく、以下のような「見えない作業」をカバーするためです。
- クライアントとのメールやりとり、MTG
- 仕様変更・追加要望への対応
- 予期せぬ技術的課題
- 環境構築、ファイル整理、バックアップ
値引き交渉への対応
「もう少し安くなりませんか?」という交渉は避けられません。ここでの対応が、プロとしての価値を左右します。
値引きせずにできる対応
- スコープを削る - 「ご予算に合わせて機能Aを省略した場合、〇〇円になります」
- 分割払いを提案 - 総額は変えず、支払いを分割して負担感を軽減
- 保守契約とセット - 初期費用を下げて、月額保守で回収
- 次回案件での割引 - 今回は定価、次回案件で10%割引を約束
やってはいけないこと
根拠なく値引きに応じると、「この人は交渉すれば下がる」と認識され、今後の全案件で値引きを要求されます。粗利を維持できる代替案を必ず提示しましょう。
値引きに応じる場合の条件
どうしても値引きが必要な場合は、必ず条件をつけましょう。
- 修正回数を2回までに制限
- 納期を1週間延長
- クレジット表記(制作実績として公開OK)
- 追加案件の優先契約
- 前払い(着手金50%以上)